救助大会ってなに?3分でわかるシリーズ、競技種目、レベルの高い消防本部、出場するには?
救助大会とは「全国消防救助大会」のことで、全国の消防隊員の高度な救助技術や強靭な体力を競い合う大会です。一般財団法人全国消防協会が主催し、年に1回全国各地で行われている。陸上の部と水上の部から構成され、また各々で個人種目と団体種目に分かれています。内容は競技だけを行うだけでなく、色々なセレモニーや体験イベントなどが開催され、一般の方でも楽しみやすいイベントになっています。
⇒ 救助隊ってなに?1分でわかるシリーズ、正式名称、様々な消防の特殊部隊、消防隊との違い、どうやってなるのか、法令根拠について
⇒ 特別高度救助隊ってなに?1分でわかるシリーズ、救助隊より凄い?、自治体ごとの違い、どうやったらなれるの?
⇒ ハイパーレスキューってなに?1分でわかるシリーズ、部隊の種類、他の特別高度救助隊との違い、どうやったらなれるの?
陸上の部 個人種目
ロープブリッジ渡過
空中に展張された20mのロープを往復するタイムを競う競技です。一般の的に消防士と言えばロープを渡るイメージがあると思いますが、この競技が皆さんの想像しているものです。
ちなみに往路はセーラー渡過、復路はモンキー渡過をおこないます。競技としては1分もかからないのでかなり早く終わってしまう競技ですが、通の見どころとしてはロープから落ちてしまった時に復帰するところが個人的には注目ポイントです。
はしご登はん
確保ロープを自身に結索した後に、15mの高さのはしごを登る競技です。これも見たことをある方は多いかもしれません。この競技も1分もかからないですし、何よりスピード感がとんでもなく早いので見ていて迫力がすごいです。また、はしごに登る前の結索もロープの躍動感など見応えたっぷりです!
陸上の部 団体種目
ロープ応用登はん
登はん者と補助者が2人1組となり、15mのロープを器材を使用せずに登り切る早さを競う競技である。
想像が付きづらいと思うので簡単に説明すると、まず補助者が登るロープを持ち準備しており、そこに登はん者が補助者を踏みつけてロープに足を絡ませて上に登っていく。補助者はそのロープの流れをうまく補助して15mのぼりきる。
正直あーすごいなとは思いますが、見ていて地味なので他の競技に比べるとそこまで人気もありません。
ほふく救助
救助員2名と要救助者1名の3人1組で行う。
救助員の1名が空気呼吸器を着装し、8mの長さの煙道を検索した先にいる要救助者を屋外に救助した後に、救助員2名で安全地帯まで搬送するまでの一連の早さを競う競技です。検索する救助員のスピード感や救助員のロープ結索の技術が見所であり、SNSとかでもたまに上がっているので比較的人気の競技です。
ロープブリッジ救出
救助員3名と要救助者1名の4人1組で行う。
まず救助員2名が要救助者がいる対面する建物(ロープにより繋がっている状態)へ進入し、要救助者へのロープ結索を行う、残った救助員1名がけん引により要救助者を救助した後に、救助員2名も脱出する早さを競う競技。個人種目のロープブリッジ渡過に救助要素が盛り込まれたなかなか見応えのある競技である。
引揚救助
救助員4名と要救助者1名の5人1組で行う。
救助員2名が空気呼吸器を着装し、塔上から塔下へ降下し、その後検索、要救助者を搬送し、救助員4名で協力して塔上に要救助者を救出した後に救助員が脱出する早さを競う競技である。他の競技にあまりない降下を見ることが出来る点やほふく救助の雰囲気もあるので総合的な救助操法が見れるのもこの競技のいいところです。
障害突破
5人1組(1名は補助者)で行う、救助大会における花形競技である。基本は4人で連携をとり、「乗り越える」「登る」「渡る」「降りる」「濃煙を通過する」の5つの障害を突破する早さを競う競技である。誰でも時間をかければ突破することはできるであろう障害を、その技能と体力で極限まで早さを極めた動きは本当に研ぎ澄まされており、本当に一見する価値はあります。
水上の部 個人種目
基本泳法
水難救助において基本泳法とされる、常に顔を出した状態での「抜き手(顔を出したクロール)」と「平泳ぎ」でそれぞれ25m泳ぎきる早さを競う競技です。水難現場では顔をつけてしまっては視界がなくなってしまうので顔を出し続けて泳ぐのが基本なんですね。また、飛び込みの仕方も通常の水泳と違い、「じゅんか飛び込み」と言う足から入水しながら飛び込むと言う、なかなか見る機会のないものも見ることができます。
複合検索
マスク、スノーケル(シュノーケル)、フィンを着装し、スノーケリングをしながら障害物を突破し、水中に沈められているリングを検索して引き揚げる早さを競う競技です。見所はまずは、その泳力。フィンをつけているからとはいえとんでもないスピードで泳ぎながら、障害物である浮き輪の間をイルカのように通過するのはとてもすごいです。水中の検索部分は正直潜っているだけにしか見えないのであんまりですが、水泳選手よりガタイの良い屈強な男たちなので迫力もあります。
水上の部 団体種目
溺者搬送
救助員1名と要救助者1名の2人1組で行う。救助員は「じゅんか飛び込み」で入水後、要救助者の位置まで「抜き手」「平泳ぎ」で近づき、救助するまでの早さを競う競技です。正直あまり派手な競技でないため見所としてはあまりないのですが、救助時に要救助者が水を飲まないように顎を上げる処置をしていたり、個人的に面白いと思うのは要救助者を救助する時に髪を引っ張って泳いでいるのは結構シュールです。
人命救助
救助員2名と要救助者1名の3人1組で行う。救助員は救助ロープを体にかけた状態で要救助者の位置まで泳ぎロープで確保し、もう一人の救助員がロープを引き寄せて救助した後、もう一人(訓練人形)も救助する早さを競う競技です。
個人的に水上の部の花形種目だと思っていて、とても見応えのあります。初めの結索の早さ、泳ぎの迫力、救助の早さとロープを引き寄せる屈強な男、すごい!と思っている間に終わってしまう競技なので一度見てみる価値はあります。
溺者救助
救助員2名と要救助者1名の3人1組で行う。人命救助と似ている競技ですが、この競技は浮き輪を利用して要救助者を救助する早さを競う競技です。この競技も、初めの結索の早さ、泳ぎの迫力、ロープを引き寄せる屈強な男など見所はありますが、個人的には人命救助の方がオススメです。
水中結索
3人1組で行い、第1泳者が「もやい結び」第2泳者が「巻き結び」第3泳者が「ふた回りふた結び」を水中に設置されている結索環まで泳いでは結索を行う。これを第1泳者から第3泳者が終わるまでの早さを競う競技です。水中での映像は大きなモニターで見ることになりますが、めちゃくちゃ早くてびっくりします。ただ、早すぎて何しているのかわからないので、泳ぎとそれだけだと少々見所には欠けるかなと個人的には思っています。
水中検索救助
4人1組で行う。第1泳者が水面、第2泳者が水中を検索し、水没している要救助者(人形)を発見して水面へ引き揚げた後、第3泳者と第4泳者が協力して対岸の救出地点まで搬送する早さを競う競技である。
この競技は純粋にレースとして楽しめるのでオススメです。特にすごいのは第2泳者で、水中を検索しながらなので一度も水面に上がらずに泳ぎ切るのは本当にすごいです。オリンピックの競技にしても面白いと思うぐらい見る価値のある競技です。
どうやったら出場できるの?
全国消防救助大会は、各自治体の選考会を勝ち上がってきた猛者達が集う場所なので、出場するのはすごいことです。その選考も、まずは各自治体の選考に勝って、次は県もしくは地方での選考会を通る必要があるので、3回ほど関門があると言うことです。
どうしても出たい方は、人気の薄い競技に出場して可能性を高めるなどがありますが、どっちにしてもかなりの努力は必須です。
レベルの高い消防署はある?
基本的に救助大会だけで消防署のレベルを測ることはできません。出場している人数で優劣を考えると、母数が多い大規模な消防本部が有利になってくるからです。また、訓練に当てる時間にも自治体によって差があります。災害の少ない地方では救助大会に向けての訓練を本当に1日中やっているところもありますが、大規模な消防本部ではそうはいかないです。また大規模な消防本部では異動が多いため、団体競技を半年訓練してきたのに、異動でメンバーが変わったなんてことはザラにあるようです。
なので組織単位でレベルの高い低いを判断することは難しく、ただ個人種目だと「この種目は〇〇消防の〇〇さんがいる」など個人的に有名になっている凄い人はいるようです。
その他の技術訓練
救助大会は個人や数人の技術を競い合うだけでなく、消防全体の技術向上を目指し、訓練による技術の共有などの取り組みも行なっている。
訓練想定に対して、定められた救助方法や資器材に縛られることなく、創意工夫で、より安全で迅速、確実な訓練を行います。各自治体により色が出てたりもするため通の人には楽しめる場になっています。
まとめ
救助大会を見て消防士を志す人もいたりするように、そのかっこよさは一級品です。消防を好きな人はもちろん、興味のない人でも楽しめるイベントになってきていると思うので、ぜひ一度足を運んで見てはいかがでしょうか。
よく読まれている記事一覧
» 防火管理者ってなに?1分でわかるシリーズ、防火管理講習、防災管理者との違い、根拠法令
» 収容人員ってなに?1分でわかるシリーズ、なぜ必要なのか、把握しておかないとヤバイ?、計算方法、根拠法令
» 特別高度救助隊ってなに?1分でわかるシリーズ、救助隊より凄い?、自治体ごとの違い、どうやったらなれるの?
» 救助隊ってなに?1分でわかるシリーズ、正式名称、様々な消防の特殊部隊、消防隊との違い、どうやってなるのか、法令根拠について
カテゴリー一覧
» 消防法の解説
» 消防用語集
» 消防設備士の学習
» 全国の消防組織
» 消防の予防を学ぶ
» 防災を学ぶ
» 建築と消防